イギリス eu 離脱。 【ゼロからわかる】イギリス国民はなぜ「EU離脱」を決めたのか(笠原 敏彦)

イギリス「EU離脱」はなぜこうももめているのか

イギリス eu 離脱

イギリスがEU離脱をしたのはなぜか、その理由をできる限りわかりやすく簡単に説明していきます。 EUとは? EUは1993年に設立されたグループで、前身のECが拡大してマーストリヒト条約というものをうけて誕生しました。 前身のグループECは第2次世界大戦の反省から、「ヨーロッパ諸国内での戦争が起こらないようにしよう」という考えで生まれました。 戦争の一つの原因は貧しさ・経済的な弱さに有ります。 そこで、ヨーロッパ諸国が一つになってアメリカのような 経済大国に対抗できる経済力をつけるためにできたのがECでした。 中学校の社会・公民の授業でも登場する話ですが、EUが行った政策には• 共通通貨ユーロ• EU加盟国同士の関税の撤廃• EU加盟国同士はパスポート不要でOK といったものが有名です。 共通通貨ユーロ 一つの経済的なグループになるためには、通貨が違うといちいち両替をしないといけないため大変です。 為替相場などいろいろな影響を受けてややこしくなってしまいます。 そこで、「EU加盟国で一つの通貨を作ってしまおう」と誕生したのがユーロです。 ユーロを取り入れていない国の代表例がイギリスでした。 EU加盟国同士の関税の撤廃 他の国に製品を輸出・輸入するときには、関税がかけられます。 これは、「自分の国の製品が売れやすいように外国製品は高くしよう」というものです。 しかし、EUにとってはEU加盟国同士は仲間なので関税をかける必要がありません。 これでEU加盟国同士の貿易が盛んになりました。 EU加盟国同士はパスポート不要でOK 関税の撤廃はモノの移動の自由、ユーロはカネの移動を自由にしました。 そして、 ヒトの移動の自由を手に入れるために、EU加盟国ではパスポートがなくても隣の国に行くことができます。 ドイツに住みながらフランスの料理店で働くことも簡単になりました。 しかし、 いいことばかりではありません。 自分の国だけで決め事を作れなくなるということは、さまざまな問題も起きてきます。 投票率は72%と非常に高く、約3000万人が投票し、そのうち1740万人がEU離脱を選びました。 EU離脱を促す活動がというサイトを立ち上げたり、SNS上などネットで繰り広げられました。 EU離脱に賛成が52%、残留 反対 が48%と僅差ですが、イギリスのEU離脱が選ばれた理由は簡単に言ってしまえば EUに残ることはイギリスにとってデメリットが多かったから と言えます。 もう少しだけまとめると• EUに支払うお金が無駄• 経済成長の邪魔• 協定の締結スピードが遅くなる• テロ被害の増加• 国民保険の水準低下 このようなものが主な理由と言えます。 もともとお金をEU共通のユーロにするのを嫌がっていたり、何かとEUに否定的だったイギリス。 徐々に年月が経つにつれて問題が大きくなっていったため、EU離脱へと動いていきました。 2016年には国民投票でEU離脱が決定し、その後3年以上が経過してついに、EU離脱を公約として掲げていたジョンソン首相の保守党が2019年12月12日にイギリス下院総選挙で過半数の議席を獲得しました。 2020年1月31日をもってEU離脱が行われる予定です。 イギリスのEU離脱はなぜ起きたのかわかりやすく詳しく 先ほど挙げた5つのポイント• EUに支払うお金が無駄• 経済成長の邪魔• 協定の締結スピードが遅くなる• テロ被害の増加• 国民保険の水準低下 を中心に、なぜイギリスはEU離脱をするのか?簡単に説明していきます。 EUに支払うお金が無駄 によると、 イギリスは1週間あたり3億5000万ポンド以上 約510億円 をEUに支払っているとのことです。 Vote LeaveというイギリスのEU離脱を呼びかける団体などは、 NHSというイギリスの国民保険サービスに支出されるべきだと主張しています。 ただし、この解釈にはグレーゾーンが残っており、によると、2018年にイギリス政府がEUに送金した額は155億ポンド 約2兆2600億円 ですが、このうちの一部はイギリスに返還されています。 国家統計局は2018年に45億ポンド 約6500億円 がイギリスの公共部門に返還されたと報告しています。 経済成長の邪魔 EUに加盟していると、イギリス国内の法律よりも 「EUとしてアリかナシか?」が優先されます。 これが すべてのEU離脱を求める声の原因になっているとも言えます。 輸出の際の関税は撤廃されたとはいえ、EU加盟国にはさまざまな国があります。 豊かな国もあれば、貧しい国もあります。 EUの理想としているのはみんなが平等に生きられるグループなので、お金を持っている国はそれなりの負担をしなければなりません。 イギリスはまさに「お金を持っている国」の代表例なので、「単一市場規則」というものに則って企業はお金を支払わなければなりません。 これは、イギリスの大企業にとっては大したことがありませんが、 中小企業にも平等に負担が強いられます。 協定の締結スピードが遅くなる 例えば、イギリスが新たにどこか新しい国と貿易協定を結びたいとします。 協定を結ぶためには イギリス政府・議会の承認だけでなく、EUがOKしなければいけません。 によれば、現状はイギリスの自由貿易が規制されていると言います。 また、EU離脱によって逆にEU加盟国から過剰な関税を課されるのではないか?と不安視する声に対しては、 約890億ポンド 約13兆円 の物品を輸入しているのでイギリスよりもEUにとってデメリットが大きいと主張しています。 また、イギリスはEU加盟国・ドイツの重要な輸出相手国であるため、下手なことはしてこないだろうと考えられています。 テロ被害の増加 EU加盟国内はパスポートなしで自由に行き来できてしまいます。 犯罪者やテロ組織の人間であっても例外はありません。 保守党の議員なのでなんともいえませんが、法務大臣ドミニク・ラアブは「EUに残ることがテロ被害を増加させる」と主張しています。 EU加盟中と離脱後でどの程度テロ被害を減少させられるのかは不明です。 ただし、EU加盟国である間は「深刻で確かな脅威を証明」できない限りはEU市民の入国を禁止することができません。 イギリス国内法であれば、「公共の利益にならない」人物であれば入国を禁止することができますが、 EUのルールが国内法よりも優先されているのも事実です。 によれば、過去10年間で1万1000人のEU市民を本来は入国禁止にできたと言います。 その中には例えば、「妻を殺し、イギリス国内で14歳の少女を殺したラトビア人」も含まれています。 イギリスの刑務所には、1000人のポーランド人を含む約1万人の外国人受刑者が収容されています。 国民保険の水準低下 日米FTAでも話題となっている日本の保険制度がなくなるかもしれないという話題。 形は違いますが、 EU加盟国でも国民保険サービスの水準低下の問題が起こっています。 によると、国民保険サービスは金儲けの道具となってしまっており、国民保険はイギリス政府・議会が責任をもって果たすべきと主張しています。 難民・亡命問題 によれば、2015年にEUに130万人が亡命申請し、そのうち36万3000人がシリアから来たと言います。 EUの国籍を取得した難民はイギリスにも自由に訪れることができます。 EUの国境警備局は、 ジハード主義者がEUのヒトの自由な移動と難民問題を利用して潜入していると警告しています。 実際に2015年に起きたパリのテロ事件はこの一例です。 主権の回復 EUを離脱することで、イギリスは主権国家としての地位を回復することができます。 国境移動を管理できない EU加盟国である限り、国境移動を適切に管理することができません。 300万人以上のEU加盟国の市民がイギリスに移住しており、年間18万4000人が移住しているといいます。 移住者が多いということは、 それだけ問題が起きたり、イギリス国民がもらえたはずの仕事が奪われていると言えます。 キャメロン首相の時代にも、EU加盟国からの移住者を減少させると方針が打ち出されていましたが、実現はされませんでした。 適切な移住・難民の受け入れができない EUの法律では、EU市民であれば資格などに関係なくすべて受け入れなければなりません。 逆に、EU加盟国以外の人材でどれだけ熟練した技能をもっていたとしても、企業が労働許可を取得することはほぼ不可能です。 また、EU離脱することで、難民についても同様に イギリスが責任をもって審査することができます。 外国からの過干渉 EU加盟国である限り、イギリス議会はEU司法裁判所の判決に従わなければなりません。 EU司法裁判所はビールの価格からテロ容疑者の国外追放まで、ありとあらゆる権限に干渉してきます。 今までにEU司法裁判所がイギリスにとって不利益となる判決をしていないのであれば、問題がないと言えます。 EU制度とヨーロッパ経済の腐敗 EU加盟国にはさまざまな国があります。 によれば、 イギリスの経済は2008年から約10年間で6. 失業率も EU全体 10. また、ギリシャの若者に限定すれば失業率は51%と最低です。 付加価値税 軽減税率 付加価値税 VAT と呼ばれるものが製品・サービスに課されます。 いわゆる軽減税率のようなものです。 ある程度は国ごとの判断で付加価値税 VAT のパーセントを最低5%まで引き下げるができますが、EUの承認がなければ廃止することはできません。 例えば日用品、生理用品の付加価値税 VAT を廃止することはEUで決められていないので、 イギリス政府が廃止したいと申し出て承認されなければいけません。 漁業の衰退 EUに加盟したことで、 イギリスの漁師の数は1万2000人を下回りました。 本来は排他的経済水域を有していますが、EU加盟国は共通のエリアでしか漁業を行うことができません。 大西洋の広い地域でも国ごとに割当量が決まっており、スペインの船舶が1万5546トンを割り当てられた中で、イギリスの船舶は7131トンしか許可されませんでした。 イギリスのEU離脱でどうなる・日本のメリットデメリットは? イギリスのEU離脱で今後どうなるのでしょうか? 日本への影響やメリットデメリットは何か見ていきましょう。 イギリスのEU離脱でどうなる・メリットデメリット 2015年に保守政党がイギリスの総選挙で勝利をおさめ、EU離脱をめぐって2016年6月23日に国民投票が行われました。 国民投票でEU離脱が決定したにもかかわらず、その後3年以上もの時間を要した理由は当時のキャメロン首相をはじめ、ほとんどの政治家たちはEU離脱が実現することを望んでいなかったと言えます。 キャメロン首相が辞任し、メイ首相へと政権が移り、さらに元外務大臣ボリス・ジョンソンが後を継ぎ、ついに2020年1月31日で離脱が行われる予定となりました。 イギリスのEU離脱でどうなるのかを断言することは不可能ですが、確定している部分から見ていきましょう。 EU予算の負担 EUに加盟している限り、EUの運営予算の一部を負担し続けなければなりません。 少なくとも離脱することで 負担金がなくなるため、コスト削減が図られます。 貿易 EUは加盟国同士の関税などが撤廃されています。 金融サービスでもこれは大きなメリットでした。 EUの単一市場を武器として戦っていたイギリス企業が、どれだけの打撃を受けるのかが課題とされていました。 イギリスは輸出国の50%以上がEU加盟国でした。 これは、EU加盟国は関税が撤廃されているという恩恵を受けていたためです。 しかし、 EU加盟国以外では自由貿易の恩恵を得られていないため、EU離脱をすることでほぼゼロの状態に陥ります。 EU離脱を推進する人々は、イギリスがEUを離れて独自に貿易協定を確立していくことで、不利益を補えると言います。 ジョンソン首相はカナダを例に挙げて、 貿易協定を締結できると主張していますが、現段階では確かなことではありません。 投資・金融 によれば、EUを離脱することでロンドンが世界最大の金融センターの一つとしてみられなくなり、地位を落とすと言われています。 また、 イギリスに本拠地を置く金融会社はEU加盟国への自由移動ができなくなるという大きなデメリットを負います。 BMWは、自動車がEU加盟国をはじめとしたヨーロッパ諸国に非課税で輸出できなくなれば、 自動車メーカーがイギリスでの生産を縮小・終了する可能性があると主張しています。 EU離脱を支持する人たちは、楽観的に今後も継続して関税なしの取引が行われると断言します。 現状としては、イギリスのEU離脱に関する国民投票が行われた2016年以来、多くの銀行や金融会社がイギリスからEU加盟国に拠点を移しています。 一部の自動車メーカーは移転に成功していません。 主権 EU離脱のもっとも大きな理由は主権にあったといえます。 EUの条約がイギリス国内法よりも優先し、主権がないような事態を悲観する声が多くありました。 EUがイギリス政府や議会から権力を奪っていたことは残留を支持していた人たちも認めるところです。 ただし、EU離脱はヨーロッパにおける影響力を失い、ヨーロッパの統合という美しい理想の実現を遅らせるものでもあります。 労働党のヒラリー・ベンは、世界が相互依存の方向に進んでいる中で、 影響力を失い弱体化するだけの失策だと批判しています。 経済学者によれば、「主権回復という分かりやすいメリットがある一方で、EUの単一市場から弾き出されて影響力を失った部外者」と形容しています。 移民・難民 EU加盟国である限り、EU市民の移住を禁止することは基本的にできません。 そのため、東ヨーロッパや南ヨーロッパのイギリス移住が増加しました。 国家統計局によると、2016年には 東ヨーロッパ ルーマニア人、ブルガリア人など 94万2000人 西ヨーロッパ 79万1000人 これだけの移住者がありました。 こうした移住者はEU加盟国でなくなるイギリスでは、 許可が下りない限り定住することができなくなると考えられます。 仕事 EU離脱によって300万人の雇用が失われると言われています。 それに対し、EU離脱を指示する人たちは真っ向から「ただの妄想」だと否定しています。 これらは単純に貿易政策や移民に関する問題に置き換えて議論されており、実際の経済予測や雇用率に関しては放って置かれています。 移民に関しては入国する人が減ることで、 仕事の奪い合いがなくなり市場価値が高くなるため賃金の上昇が見込めます。 しかし同時に、労働力不足と賃金上昇が起こることで、経済成長や経済競争力の低下が考えれます。 雇用市場にEU離脱がどのような影響を与えるのかは未知数です。 少なくとも2016年の国民投票以降、経済成長は鈍くなっており、雇用は高いままです。 貿易関係も未知数であり、 EUや他国との関係によってすべてが変わってきます。 テロ・犯罪・治安 EU離脱によって、EUのルールではなくイギリス独自のルールで入国者をチェックすることができるようになります。 これはメリットであるかのようにも見えますが、元国防長官マイケル・ファロンによれば、EU加盟国だったことでNATOや国連の恩恵を受けていたと言います。 犯罪記録や乗客記録を得てテロ対策をすることができたのはEUに加盟していたからだと言います。 とはいえ、EUを離脱したからといって、イギリスをおとしめるような事態になるとは考えにくいです。 イギリスのEU離脱で日本のメリット・デメリットは? イギリスのEU離脱自体のメリット・デメリットはすでに触れた通りです。 今後、日本が被るイギリスのEU離脱のメリット・デメリットについて見ていきましょう。 イギリスのEU離脱で 日本にも影響する分野は貿易です。 EU加盟国意外とは貿易協定をほとんど結んでいなかったイギリスでしたが、によれば日本側はすぐにイギリスとの貿易協定締結に向けて動くと言われています。 投資・金融に関してはすでにイギリス国内に拠点を置く企業がEU加盟国に移転している例がありますが、日本にとってはイギリスからでなくEU加盟国とやりとりをすることになるだけであり、もともとEUとのEPA 経済連携協定 が維持されるにすぎません。 イギリス国内に工場を持ち、ヨーロッパに輸出していた日本企業は輸出減少の可能性があり、デメリットと言えます。 ただ、 あくまで現地の子会社が被害を受けるだけと割り切ってみれば、日本経済への影響は限りなく少ないでしょう。 現地に住む日本人にとっては影響がないとは言えませんが、日本経済への影響はほぼなく、 しばらくはEUとのEPA 経済連携協定 がそのままイギリスとの間でも適応されます。 その後、日本とイギリスとの間で締結する貿易協定の発動で混乱が起こる可能性はあります。 このあたりは日米貿易協定の内容次第なので、現段階では断言することはできません。 もしイギリスとの間で自由貿易協定が締結されれば、アメリカとの間で実現に至っていない日本車の関税撤廃が行われる可能性もあります。 まとめ ・EUとは? EUは1993年に設立されたグループで、前身のECが拡大してマーストリヒト条約というものをうけて誕生しました。 ・イギリスのEU離脱はなぜ起きたか簡単に説明• EUに支払うお金が無駄• 経済成長の邪魔• 協定の締結スピードが遅くなる• テロ被害の増加• 国民保険の水準低下 ・イギリスのEU離脱はなぜ起きたのかわかりやすく詳しく• EUに支払うお金が無駄• 経済成長の邪魔• 協定の締結スピードが遅くなる• テロ被害の増加• 国民保険の水準低下• 難民・亡命問題• 主権の回復• 国境移動を管理できない• 適切な移住・難民の受け入れができない• 外国からの過干渉• EU制度とヨーロッパ経済の腐敗• 付加価値税 軽減税率• 漁業の衰退 ・イギリスのEU離脱でどうなる・メリットデメリット• EU予算の負担• 投資・金融• 移民・難民• テロ・犯罪・治安 ・イギリスのEU離脱で日本のメリット・デメリットは? 現地に住む日本人にとっては影響がないとは言えませんが、日本経済への影響はほぼなく、しばらくはEUとのEPA 経済連携協定 がそのままイギリスとの間でも適応されます。 その後、日本とイギリスとの間で締結する貿易協定の発動で混乱が起こる可能性はあります。 いつもたくさんのコメントありがとうございます。 他にも様々な情報がありましたら、またコメント欄に書いてくださるとうれしいです。 カテゴリー•

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イギリス「EU離脱」はなぜこうももめているのか

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イギリスの欧州連合(EU)離脱が先行きの見えない状況に陥っている。 国民投票でEU離脱派が勝利してから3年弱。 なぜ今になっても、離脱をめぐる混乱は収まらないのか。 『』の著者で、代々木ゼミナール講師の蔭山克秀氏が解説する。 イギリスでEU残留の是非を問う国民投票が実施され、「残留派48. 1%/離脱派51. 9%」の超僅差で、離脱派が勝利したのは、2016年6月。 思えばイギリスは、最初から欧州統合の「濃すぎる地域主義」を嫌っていたふしがある。 統合初期にはEEC(欧州経済共同体)よりもEFTA(欧州自由貿易連合。 自由貿易だけの結びつき)を選び、EC時代にはシェンゲン協定(パスポートなく域内を自由に移動できる協定)に入らず、現在のEUでも、ユーロを導入せずポンドを使い続けている。 一方、同じアングロサクソンのアメリカとは「特別な関係」(ウィンストン・チャーチルの言)を強調し、親密さをアピールする。 だから欧州統合は「ドイツとフランスが中心。 イギリスは消極的」が、つねに基本スタンスだった。 そのイギリスのEU離脱劇が、今回の「ブレグジット(Brexit)」だ。 ではイギリスは、ここにいったい何を求めたのか? 最初の離脱案は相当「上から目線」だった EUとの離脱交渉でいちばん最初に求めた内容から、その辺を探ってみよう。 正式に離脱通知を提出した2017年3月29日、イギリスは、要約すると以下のような内容の申し出をした。 もしこの申し出が無理なら、今後は残念ながら、テロ対策や安全保障での協力もできなくなると思います」 これは相当「上から目線」だ。 完全に「おいしいとこ取り」だ。 しかも末尾には、軽い脅しまで入っている。 EU首脳陣は当然怒り、ここから離脱交渉は難航する。

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英国はなぜ「EU離脱」を選択したか

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EUとは EUは「European Union」のことで、いくつかの段階を経て今日の巨大な組織に発展しています。 第二次大戦の悲惨な教訓から、再び争いのない平和で自由な社会を築くために、欧州各国は一致団結しようとの想いから始まった独仏の取り決めが発展的に拡大してEUへと結実しました。 その基本理念は人、モノ、お金、サービスの4つは自由に域内を移動できるということです。 したがって域内ではどこの国にでも行って居住できるし、自由に商売もできてその上関税もかからないわけです。 設立当初は数カ国でしたが、2017年には途中加盟のイギリスを含めて28カ国が加盟する一大経済圏へと成長しました。 EUの先駆けとなる諸取り決めが統合されたのが1967年で、当初は欧州共同体 EC と呼ばれ、その内容は主に「原子力」「石炭・鉄鋼」「経済」に関する取り決めから構成されていました。 その後1993年の欧州連合条約では外交や安全保障、警察・刑事司法協力などの取り決めも加わり加盟国に対する政治的な統合性が一層色濃くなっています。 更に2009年のリスボン条約ではこれらの関連諸条約に若干の修正が加わり現在に至っています。 本部はベルギーのブリュッセルにあり、「欧州連合」とか「ヨーロッパ連合」と呼ばれています。 イギリスは1973年にあくまでも経済的な理由からEUの単一市場に参加した経緯があります。 そして国民投票により加盟を維持してきましたが、EUに本格的に参画しようという意思は当初からなく一定の距離を保ち、通貨もユーロではなくポンドを維持しています。 そのイギリスが2016年に国民投票により、僅差でしたがEUからの離脱を決めました。 離脱理由その1: 移民問題 EU加盟国の中には貧しい国も多く、そうした国々から見るとイギリスなどは手厚い社会保障制度が完備しており、所得水準も高く憧れの国であり、そのような国に住みたいと思います。 結果的に沢山の移民がイギリスに流入することになり、イギリスとしては移民がもたらす経済的利益よりも負担の方が遥かに大きくなりました。 すなわちイギリス国民の税負担が増大しているのです。 その他に移民は低賃金で雇用されるために本来のイギリス人労働者の仕事を奪う形になってしまいます。 同時に国が違うということは考え方も価値観も違うわけで、そうした人達が身の回りに急増していくことで不安感が増します。 そこにテロ事件が勃発しました。 不安感は恐怖感に変わりました。 EUに加盟している以上、イギリス単独で移民の流入を拒否したり、移民の数を制限することはできません。 離脱理由その2: EUの細かい規制 EUは2万件以上もの細かい決まり事を制定して加盟各国の国家主権を超越する形で規制を課しています。 加盟国は経済や外交、労働や環境などの各方面で事細かく規制されます。 すなわちEUとの合意に抵触する国内法はたとえ法整備の必要があろうとも立法できないわけです。 また単独でEU圏外の他国と自由に貿易や通商上の協定も結べません。 常にEUの監督下にあり、こうしたことから加盟することのメリットよりも逆に国益の毀損の方が大きいのではないかとの懸念が膨らんでいます。 その上EUのエリート幹部として決まり事の決定に関与している、一部の官僚主義的な職員による、有り得ないような決まり事に従わなければなりません。 かつてのいわゆる「バナナ規制」を一例として挙げますと、バナナの長さやカーブにまで細かい決まり事があったそうです。 その意味は、 「過度に曲がった高級バナナを売ってはならない」のだそうです。 おそらく一事が万事であろうと思われます。 肥大化した官僚主義の弊害の最たるものです。 巨大な利害と思惑が渦巻くEU本部では大企業や政府に雇われたロビィスト達に取り囲まれ、持ち上げられた経験不足のエリート幹部は、適切且つ十分な検証もせずに現況にそぐわない決まり事を次々とつくりだしていったのでしょう。 北アイルランド問題の再燃 イギリスが抱える「厄介事」があります。 いわゆる北アイルランド問題です。 EU離脱によりアイルランドと北アイルランドとの間に障壁ができた場合、経済成長によりかろうじて小康を保っている、アイルランド統一のためのテロ事件が再燃する懸念があります。 この歴史的な問題についてはにて解説しています。 まとめ イギリスがEUを離脱することにより、イギリスはある意味で国家の主権は回復するとしてもデメリットは甚大です。 イギリスの脱退がこれほどまでに騒ぎになるのは、 まさか脱退はしないであろうという多数の予測が外れたこと、及びそのことから受ける自国の影響を憂慮してのことと思われます。 イギリスとしては事後処理の話し合いの中で貿易や関税の問題など、相互に影響を及ぼす諸点に関してEUとの妥協点を確保し、その上での離脱にすべきと考えます。

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